一般社団法人ワットアット 代表理事 西島 聡

ワッと感動、アッと発見!

ワット(what)
「これは何だろう?」「何ができるだろう?」という、子どもたちの好奇心や可能性

アット(at)
「ここにいるよ」「この場所で」という、一人ひとりの居場所や心の拠り所

そんな意味が込められています。


事業を始めたきっかけ

前職、NPO法人リハケア神戸の代表である香川真二先生は、障害児の父親であり、神戸市の議員でもあり、理学療法士でもあり、福祉・医療関連の事業所を複数運営するNPO法人の代表でもあります。

元々、僕がこの事業を始めたきっかけは二つ。
「障がいをもった方やそのご家族と、支援を『する』『される』の関係でなく、人としてホンネで関わりたい!」
「で、今の医療や福祉制度では十分に支援しきれない部分をできる範囲でカバーしたい」

という想いからでした。

障がいをもつ子どもさんの保護者さん達との間にはまだまだ壁は感じる(遠慮されてる)感じはあるけれども、一緒に遊んだりする中で以前よりもホンネが聞けたり、生活の色々な場面に触れることができたり。

障がいをもつ子の母親でもある友達の加藤さくらさんが「子ども連れてたらトイレにも行けない」と言ってたのを聞いて、「そうか!」と気づかされたり。上記のお世話になった香川先生が「療育センターに子ども連れてったらさ。リハビリ終えてからお金の支払いするんが大変やねん。動く子供を抑えながら片手で財布とってなんやかんやで。」というのを聞いて、「確かに!」とか。

で、面白いのがそこからで「そやから療育センターの支払いをリハビリ中にしてもらえるようにしてん」と。

いや、ほんまに小さい、ちょっとしたことなんやけど、こういう視点がそれこそ支援「する側」にはなかなか出てこない。そしてこの実行力は色々な顔をもつ香川先生だからこそかと思う。

でも、この社会へのアクションこそが障がいもつ方々や家族さんから求められてることで、支援者たる者ここまでやらなあかんよなと。

僕が事業をしようとした際には今も現在進行形で色々心配の声をかけてくれる人がいる。同じ人が色々なことを言ってくれることもある。

もう全部ありがたい。この想いを忘れずにいたい。

誰のために事業を始めたか、というと最終的には自分の為なんやけど、そんな自分を少しでも応援して下さる方の想いにはしっかり応えていきながらこれから事業を展開していきたい。

一般社団法人ワットアット Facebook初回投稿より抜粋

ワットアットって何をしているところ?

ワットアットさんは伊川谷のコープデイズ神戸西の3階で、障がいがある子もない子も一緒に過ごすことができる場所「ワットアットラボ」を運営しておられます。そこでは「つながる、埋まる、拡がる」をコンセプトに、様々なイベントを開催したり、色々な支援機器を使って遊んだりすることができます。

現在は保育所等訪問支援事業や法人(福祉事業所)向けの訪問支援事業をメインで行われているため、ラボのオープン時間が限られています。しかし将来的には、子育て中の親子や年配の方まで、障がいの有無に関係なく地域の方々がふらっと立ち寄れる場所を目指しておられます。

また、ラボを飛び出して公園や施設でのイベントの開催や地域のイベントへの参加、定期的なお茶会の開催などを通じて、子どもたちやご家族が集まる機会を作っています。 →Instagramはこちら

インタビュー

Q.社会の溝はワクワクで埋めよう!の「社会の溝」って例えばどんなことですか?

私が考える「社会の溝」とは、制度の問題であったり、人の心の問題であったりするかなと思っています。

世界の潮流を見ると、日本は国連の障害者権利委員会から「もっとインクルーシブさまざまな背景を持つあらゆる人が排除されない)を推進しなさい」という勧告を受けているんです。どういうことかというと、 教育でいうと、日本では特別支援学校とか特別支援学級というのがすごく増えているんです。子どもの数は減っているのに、そういう「特別」という枠組みで分けるクラスや学校はすごい勢いで増えている。その教育体制を見直して通常学級で過ごせる、質の高いインクルーシブ教育の行動計画を策定しなさい、ということを求められました。障がい者雇用や障がい者施設に関しても、精神障がいのある方などが地域で暮らす仕組みづくりが不十分だということで、障害者権利委員会から勧告を受けているんです。

日本はちゃんとやります、これこれこういう制度も整えますと約束して、2007年に障害者権利条約を批准しました。それからもうかれこれ20年近くたっているんですけれども、なかなかです。進んでるところもありますが、結果だけ見たら、特別支援学級や特別支援学校、放課後等デイサービスなどはめちゃくちゃ増えているし、精神障がいのある方のグループホームを地域に建てようとすると、いまだに近隣住民からの反対運動が起きるという話をたくさん耳にします。そんな「制度としてのニーズ」を地域の人から反対されるというのは、やっぱり人の心の溝かなと思っています。

Q.「人の心の溝」に対してのアプローチはワクワク

つながることで溝が埋まり、つながりがさらに拡がる。可能性も拡がる。ワットアットは人の可能性を拡げるきっかけをつくるための「つながる場」です。

例えば「重度の障がいを持った方が地域の子供たちと一緒に遊んでないな」と思って、なぜかなと考えた時に、そもそも社会の仕組みやサービスが健常者向けにできているからなんですよね。だから今の制度の中では、学校が別だから子供たちが会う機会がほとんどない。

そうなると、制度を作る人自体が障がいをもった方のリアルを知らなくて、「そもそも別で当たり前じゃん」という前提で仕組みを作ってしまいます。その結果、学校も会社も別で当たり前の社会が連綿と続く、なんていうことになっているのではないかなと。ただ、先の国連の障害者権利委員会からの勧告なんかもあって、それを解決するための仕組みはちょっとずつ整ってきているんですよ。

障がい者雇用率も少しずつ上がってきていますし、地域の通常学校にも特別支援が必要な子供が学べるよう「通級制度」の充実や、介助員の配置も増やそうとしています。でも、実際の現場には介助員がいなかったり、障がい者雇用率も「特例子会社」のように、結局分けられた上で数字だけ上げられていたり、とまだまだ実態としてはインクルーシブな社会とは言えない状況だと思うんですね。

それはなぜかなと思った時に、「実際の体験」や「感情」が伴っていないからじゃないかと思うんです。「ダイエットには運動がいい」と頭では分かってても、なかなか身体が動かない、て誰でもありますよね。でも運動したら「めっちゃ爽快感があった」とか、運動するのに友達と一緒に身体動かしたら「すんごい楽しかった!」などのポジティブな感情が入った途端に「またやりたい!」ってなること、ありませんか?インクルーシブな社会を推進する制度についても同じで、制度だけできてもなかなか社会の動きが実態としてついてこないのは、そもそも「そういう制度をどんどん進めていこう!」という気持ちにみんながなってないからなんじゃないかと思ったんです。

じゃぁ、逆に考えると、障がいをもってない人が障がいをもった人と何かワクワクするような体験を一緒にしたら、「あぁ、障がいのある人ともこうやって楽しいことできるんだ。もっと一緒にいたいな。どうしてもっと普通に一緒に学んだり働いたりできないの?おかしくない?」みたいな感情が産まれて、そこから「一体世の中の仕組みはどうなってるんだ?」と制度のことを知ろうという気にもなるかもしれませんよね。ちょっとでもあの子と一緒に遊べるようにとか、あの人たちも職場で一緒に働けるように、とアクションしていこうという風に。この体験、「一緒に何かをして楽しかった」という感情があって初めて、制度のことを知ろうとか、制度をこうしていきたいよねって考えることにもつながるんじゃないかなと思ったんです。だから、まずはワクワクするような体験ができるようなイベントをしようと始めました。そして障がいの有無に関係なくみんなが楽しそうにしている様子を、普段のくらしの中で、地域の方々に見てもらえるように、あえてショッピングセンターの中、という目立つところに拠点を構えてみました。

様々な支援を通じて、障がいがある人たちを「もっと楽しいことができるようになりたい!」と思えるようにエンパワメントしていく。障がいがある人のことをあまり知らなかった人達にも、ワクワク体験を通して「もっとみんなで一緒に楽しいことしていこうよ!」って思える仲間を増やす。「ワクワク体験」が間に入ることで、今まで出会わなかった人達が出会い、社会の仕組みがもっと「みんなで一緒にワクワクできる仕組み」になる。そんな社会に向けたきっかけをつくれたらと思っています。

ワクワクで埋める手段としては、イベントや研修を行ってそこで繋がった方と地域づくりをしていこうと考えています。最近行っているのは、具体的な実践例をご紹介しながら、みんなで障がいのある方への理解を深めるという「家族と支援者のための研修会」。この研修会に来て下さる方は、支援者の方、ご家族さん、障がいがある当事者の方など幅広いんです。


また、これまで施設の中で力を発揮することが多かったリハビリ専門職のノウハウ、スキルとか知識を、より生活に近い場に落とし込んでいくことを考えています。「施設ではできても生活の場では活かされない」というリハビリでは意味がない、ということを痛感してきました。私もリハビリの仕事をして20数年、うちの法人にはリハビリの仕事をして50年みたいなスタッフもいるので、そういう人たちの知識、技術をまず地域の方々のくらしに直結するような支援にしていきたいです。そして、そんな実践を研修会などを通して地域で一緒に支援にあたっている専門職の人たちに伝えていくことでみんなで支援の質をレベルアップしていきたいと考えています。

Q.ワクワクしちゃうことを突き詰めていくと?

目指すところは「世界平和」です。(笑)

あと8年は日本で社会の溝をなくす活動をして、自分が55歳になる8年後には海外で暮らしたいと思っています。「ワクワク体験を通して社会の溝を埋める」取り組みを、世界中に拡げていけたら、最終的には障がいの有無とかってジャンルを超えて、人種や宗教など、あらゆる溝が埋まって世界が平和になってしまうんじゃないかと。

「どうしてそんなことをしたいと思っているんだろう」って考えたら、結局のところ、人の心と心の間にある溝を埋めたいんですよね。その結果「みんな一つだよね!」という一体感を得たいという感覚。

その究極の姿って何だろうと考えたときに、思い浮かぶのがイスラエル。信じる対象が異なる上に、歴史的な背景から激しく敵対し合い、絶対に相容れないとされる3つの宗教の人たちが、あの狭い場所に集まっていますよね。私は、あの中に入って、みんなで一緒に「カンパーイ!」ってやりたいんです。そもそもお酒を飲んではいけない宗教の方もいらっしゃるので、実際には乾杯できないかもしれないですけど(笑)。でも極端な話、その3者が揃って笑顔で乾杯できるような社会にしたい。

社会の溝をワクワクで埋め続けたら、絶対にそうなると信じています。「戦争なんかより、もっとワクワクすることあるやん!」――そんな風に誰もが思える社会を、本気で目指していきたいです。

やりたいことがありすぎて

ちょっと難しい内容になってしまいましたが「やりたいことがありすぎて頭がはじけてる!」とおっしゃる西島さん。動画も長くなりすぎて「第一部 現在のこと」「第二部 これからのこと」という構成でまとめさせていただきました。
聞いているとワクワクしてきます。皆さんもワクワクを共有して世界平和を目指しましょう!


一般社団法人ワットアット 代表理事 西島 聡さん、ありがとうございました!

名  称:一般社団法人ワットアット
事業内容:保育所等訪問支援事業(ワットアットサポート)
     訪問支援事業(事業所様向け、当事者様向け)
     相談支援(ラボ・オンライン)
     支援機器レンタル・販売事業
     イベント・研修
住  所:〒651-2111 神戸市西区池上3丁目3-1コープデイズ神戸西3階
電  話:070-1846-0901
e-mail :contact@what-at.com
H  P:https://what-at.com/
営 業 日:月、水、木  9:00~14:00 
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