つなげる株式会社 就労継続支援A型事業所
ほまれの家グループLINK
代表取締役 仲里航
元Jリーガーが選んだ第二の人生は福祉の道
第一章 夢を叶えたサッカー人生
仲里さんは沖縄県出身。子どもの頃、男の子のスポーツといえば野球で、学校にサッカーチームが無くても野球チームが2つある、といった時代でした。そんな中、Jリーグが華々しく開幕。仲里少年はたちまちサッカーへの憧れを抱くようになります。親戚の誘いでサッカーをはじめると頭角を現し、高校時代の活躍がスカウトの目に留まり、憧れの人 三浦知良氏が所属していたヴィッセル神戸に入団しました。
子どもの頃からの「プロサッカー選手になる」という夢を叶えた仲里さんでしたが、現実は甘くはありませんでした。
◎第二の人生のほうが長い、そのための起業を目指して
プロサッカー選手としてヴィッセル神戸とFC琉球に所属していましたが、5年で引退。その後はヴィッセル神戸でスポンサー営業を3年間経験され、独立の道を選ばれました。「芽が出なければ5年で引退」「3年勤めたら起業」など、ご自分の中できちんと期限を決めて着々と人生を進めていかれているのは、子どもの頃から染みついたゲームを動かしていく力なのでしょうか。
スポンサー営業では、飛び込みでチケットの販売を行ったり、スポンサーになって欲しい企業様に営業をかけに行くという、プロスポーツ選手とはかけ離れた仕事でした。はじめは名刺もなく首にかけたスタッフカードだけで「元Jリーガーの仲里航です!」と飛び込んでおられたとか。精神力の必要なお仕事だったと思いますが、この期間に出会えた経営者の皆さんとの時間があったからこそ「3年で起業」にたどり着けたのではないかと思います。
第二章 自分の特技を生かしての起業とご縁がつないだ新しい事業
目標どおり3年で会社を作ってはみたものの、まだビジョンが明確ではなく、はじめの1年ぐらいはフリーターやアルバイトで暮らしておられたそうです。その充電期間の間にサッカー選手を目指す子の相談にのったことがあり、ボランティアのつもりでやった事がお金になったのをきっかけにやるべき方向を定め、子供向けのサッカー教室を始められました。どうやって集客すればいいのか、誰に向けて情報を発信すればいいのかさえも分からず、せっかく集まった生徒を競合スクールにとられる、などというアクシデントもありながら徐々に軌道に乗せることが出来ました。そこには「大人向のためのサッカー、フットサルスクール」という視点を変えた存在がありました。ヨガやジムのように健康のために、とサッカーを楽しむ大人の方が多く集まったのです。(現在、スポーツ事業は事業譲渡済み)
そんな中、同じくJリーガーでもあった株式会社Kids Developer 代表取締役の相馬 崇人氏とヴィッセルでのつながりをきっかけに、児童発達支援事業を行っている『KID ACADEMY』を知ることとなりました。相馬さんはヨーロッパで暮らしていた経験がおありで、ヨーロッパの子供教育を基にした「脳科学で子供の個性を伸ばす」というカリキュラムを北野でやっておられます。その中で発達の遅れのある子供たちもいて、カリキュラムをこなすことで数値がみるみる改善していったんだとか。仲里さんの親族にも発達の遅れのある方がいてご家族が大変な思いをしておられるのを見ていたため、この活動に共感し、4年前から姫路で2校を運営することとなりました。これが福祉事業参入のきっかけとなりました。
第三章 2022年4月 新たな出発
2022年4月より、仲里さんは新しい会社「つなげる株式会社 就労継続支援A型事業所ほまれの家グループLINK」を立ち上げられました。今回はこの新しい事業について詳しくお聞きしたいと思います。
Q 今回新たに 就労継続支援A型事業所 を立ち上げようと思ったのはなぜですか?
既に初めていたKID ACADEMYで自分も支援員としてかかわらせてもらっていると、保護者の方とお話ししている中で色々なお困りごと、悩み事をお聞きする機会があるんです。その中で一番多いのが、我が子の将来への不安だったんです。発達障害のある子が将来普通に生活して、就職することが出来るのか。幸せに生きていくことが出来るのか。親御さんとしては当然の悩みです。
KID ACADEMY は6歳から7歳になると卒園しなければならない。そこまでに改善に持って行けるケースと、そうでないケースがあります。不安を抱えられたまま6歳になったから他へ行ってくださいね、っていうのはおかしい。もっと違う形で支援が出来るのではないかと思っていました。福祉の中で「支援の階段」というのを作っていかなければならない、それを自社でやりたくて、その子たちが大人になった時、保護者さんたちの不安や、将来ここで働きたいと思う子供たちの受け皿を作っておきたいと考えたんです。そうする事でより良い支援ができ支援の役割としての質が高まれば、今持っている困り事や、社会的な問題というのは解決できるようになります。事業の目的としてはそういった社会的問題を解決したいっていう理念があるんです。
障がいがあって働けないとか生まれた環境で何かしらの差別を受けたり、偏見があるというのがまだ日本の現状なんです。そういうことを無くしてあげて、障がいがあっても就労ができたりできて幸せがつくれるようにしてあげたい、という思いではあります。現代では10人に1人は発達に障がいがあると言われています。遺伝や後天性などいろいろな説はありますが、非常に増えているのは事実なんです。
今は福祉の中でワンストップでできるようなサービスがあるといいなと思って、いろいろな事業を進めて行っているところです。サッカーとかスポーツから始まったんですけど、親族とか、周りの方との関係の中で思うことがあって障害福祉の世界に入って、その中でまた思うことがあって、じゃあこれも必要だなみたいな感じでどんどん広がっていっています。
色々意見をお聞きする事で広げていっているような形なので、そういった意味では繋がってはいますし、全く関係ない事業をやっているわけではないのでこれからも進めていこうと思っています。そんな中で今回着手したのが「 就労継続支援A型事業所」です。
Q 就労継続支援A型事業所 が出来る支援とはどんなものですか?
一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。簡単に言うと成人になって就職できない人の訓練所です。そういった中には知的障がいの方、精神障がいの方、発達の遅れがある方、というのがほとんどなので、そういった方々に仕事を通じて就労をサポートするというのがここの一番の役割なんです。
軽度の障害のある成人の方を対象とするんですが、スキルの向上を行って一般就労につなげるという、「福祉」と「一般就労」のあいだにあるという位置づけになります。今、日本全国に何かしらの障害をお持ちの方は1,000万人ぐらいいらっしゃって年々増えてきているんです。
もともと障害を持っていない方々、例えば人間関係のトラブルであったりとか、仕事の労働環境であったりとかという精神疾患であったり、鬱だったりですね。まさにそういうケースがすごく多くて、一般就労してたけども働けなくなった時に、通院しながらであったり、薬を飲んだりしながら、働こうとは思うけれど、 一 般就労には行けない方っていうのが増えてるんです。この精神疾患の方が今7割ぐらい利用されています。一般就労に向けた支援をして、実際もう一回社会に戻ってもらうという役割が主な形です。
Q 実際に就労するまでの流れと、雇用の詳細を教えて下さい。
4月1日にオープンしたばかりなので、今は施設の説明、見学や体験を行っています。見学をした後、気に行って頂ければ実際にハローワークで面接を行ってもらって、雇用をスタートする流れです。
B型というのもあって、こちらは重度の方が多いのですが通所しながら工賃をもらうので、比較的賃金が安くなっています。A型は雇用契約を結んで給与として賃金をもらい、ステップアップを目指すという事になっています。一般就労に向けてB型からステップアップしてA型に移ってこられる方や、一般就労していた方が何かしらの障がいを患ってA型事業所でもう一回社会とのつながりを持つための支援です。雇用された方々が実際に仕事をされるのは、10時から15時半と実働時間が4.5時間なので短いんですが、兵庫県の最低保証賃金928円分は必ずお支払いをするので、そういう方々のメリットとしては無理なく仕事をしながらお金ももらえるし、次のステップへの準備ができるっていうところですね。
もともとは一般就労など、外で就労していた人でも対人関係が苦手でコミュニケーションをとらない仕事はできるけれど、一人で殻に籠って誰とも喋らない人や、人間関係のトラブルが多い人って中にはいらっしゃるので、できるだけそれを取り除いてあげたり、あとは仕事に対して次に集中力を保つためにそういったコミュニケーションタイムを入れてるっていう感じですね。
A型の事業所については働ける期間の決まりとかは定められていませんので、ずっと働く事も可能ですが、一般就労の後押しをしていくことが必要だと考えています。
これが国の認可を得る仕事なので障害福祉サービスの中の就労支援のA型の事業所の許可をもらってやるというものです。
Q 難しい立場にいる人にとって、とても心地いい環境ですね
ここは居心地の良さを作ってあげて次の準備をしてもらうというところなんですよ。一般企業でいうと、そういう余裕はないじゃないですか。すると、やっぱみんな徐々にはじかれていったり、いじめに遭ったり、仕事ができないところまでいっぱいに追い込まれてしまう。それを居心地良く、不安がない場所にするというのが一つの役割でもあるので、何でもそうだけど、健康も生活もその精神も整っていないと意欲が湧かないじゃないですか。一般の普通の方だったら、それは自然にストレスが緩和できるような趣味を持たれていたり、何かあるとは思うんですけど、出来ない人もいますよね。そういう方にとって居心地の良い環境を提供したいんです。
Q 主にどのような仕事を請け負っていますか?
障害のある方に仕事を実際にやっていただくという作業は、PC関係のクリエイティブ制作の仕事が多いですね。Web制作・チラシの制作・名刺の制作・デザイン関係のお仕事や、データ入力・名刺の入力・アンケートの入力の軽作業などです。また、ECサイトを自社で作ってそれを運営したり企業のECショップさんからの受託で梱包から発送までを請け負ったり、写真撮影をして、 ECショップさんのサイトを作るお手伝いをさせていただいたりもしています。
このような形で私たちも障害を抱えるメンバーさんに仕事をしていただき、実際にそこで覚えてもらう業務をどんどんどんどん増やしていかないと いけないので、弊社の労働力を活かして企業さんの困っているところに貢献できるようにしていきたい、というふうに思っています。
福祉分野の実行部隊として国の公費を預かるからにはしっかりとした運営を
仲里さんはこう語ります。国がどう考えているか、というのは常に見ていかないといけないんです。こういう就労支援が必要になっているのも、精神疾患の方が増えたり鬱の方が増えている世の中であって、それが元で犯罪が多発したり自殺者が増えたりと、いろいろな問題が起きているからなんです。それを公的に支えよう、そういう問題を解決しようというのがこの福祉の存在意義でもあります。障がいを持っている人でも幸せになる権利はみんな同じなので、そのお手伝いを我々が担うということなんだと思っています。
国民が納めている税金というのは医療福祉にも当然使われているものですから、結果より良い社会になるというのが国の考えです。これから日本では労働者が減ると言われ、少子高齢化の世の中になっていきます。労働人口が減るので国では、女性の活躍と外国人の労働者を増やす、もう一つは障がいのある人たちの雇用率を上げて労働人口を増やすというのがテーマになっています。その国策の中の障がい者の仕事、雇用というのは一つ大きなメインテーマになっています。今、企業には障がい者を雇用しないといけないという法定雇用率2.3%(令和3年3月)が決まっているので、その仕組みが障がいのある方でも社会で活躍できるよう後押しする施策となっています。その一端を受け持つのが福祉事業者である個々の役割ですので、意義のある会社にしていきたいと思います。
つなげる株式会社 代表取締役 仲里航 様、ありがとうございました!
名称:つなげる株式会社 就労継続支援A型事業所 ほまれの家グループ LINK
業種:障がい福祉サービス
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